【TXQ FICTION 考察】飯沼一家に謝罪します

飯沼一家に謝罪します 考察

2024年12月にテレビ東京で四夜連続で放送された『飯沼一家に謝罪します』について考察します。これはTXQ FICTIONというフェイクドキュメンタリー番組のシーズン2にあたります。

シーズン1では捜索番組をモチーフにした『イシナガキクエを探しています』を題材としていましたが、今回は家族チャレンジ企画系の番組(番組内のチャレンジに全部成功したら賞金や旅行チケットがもらえる)を題材としています。

飯沼一家に謝罪しますの考察を進めるうえで、まずは何が起きたのかを把握するために時系列で整理したいと思います。

TVer 飯沼一家に謝罪します




時系列まとめ

1999年7月25日 4時ごろ
矢代が飯沼一家から番組で賞金を獲得するために運気を挙げてほしいという依頼を受け、影の行列という儀式を行う。

1999年?月?日
飯沼一家が幸せ家族王の収録に行く。

1999年8月20~26日
飯沼一家(明正はいない、)が曰く付きスポットを巡る。その映像は幸せ家族王のディレクターに送付される。

1999年9月1日 午後8時46分頃
飯沼父が自宅で撮影。妻と娘は壁を向いて突っ立っている。1階に降りてきた明正を映そうとするが、明正は2逃げる。

1999年9月18日
飯沼一家が出演した『幸せ家族王 チャレンジ成功で100万円&ハワイ旅行!』が放送される。全チャレンジクリアして100万円とハワイ旅行を手に入れる。明正は当日の様子をビデオカメラで撮影。父、母、妹は暗い部屋の中でテレビの前に突っ立って番組を観ていた。

1999年10月4日 午後9時20分ごろ
飯沼一家の家が全焼。1人が緊急搬送され焼け跡から3人の遺体が見つかった。

2003年4月
『飯沼一家に謝罪します』のスポンサー会社 池田IC食品 設立

2004年?月?日
矢代誠太郎が四十九日の裁き(矢代が自分で考えた儀式)を受ける。

2004年5月17日 午前2時
『飯沼一家に謝罪します』が放送される。

2006年2月
『飯沼一家に謝罪します』のスポンサー会社 池田IC食品 廃業

2024年9月中旬
テレビ東京が『飯沼一家に謝罪します』について調査

不幸を閉じ込めて好運を呼ぶ儀式

矢代は影の行列という謎の儀式を行った。

この儀式で不運を思い浮かべて心の中で鏡に映し出す、思い浮かべたものを書く、書き終わったら箱の中に閉じ込める、鏡を割って封印。といった一連の流れを行う。4人が思い浮かべた不運について、岸本良樹は数学の成績、飯沼父母娘は明正(お兄ちゃん)と書いた。

このタイミングで飯沼父、母、娘、岸本良樹は様子がおかしくなった。4人が映った写真は顔がまともに映らなくなり、番組で手に入れたハワイ旅行には行かず曰く付きスポットへの旅行にいったり、その時に撮っていた映像を番組スタッフに送ったり..。

これらについて岸本悠美子は矢代の儀式が悪いのではと疑っていたが、実際はどうなのか?例えば矢代の儀式に加えて明正のオカルト趣味が悪く作用してしまいマイナスの効果をもたらしたり、そもそも矢代の儀式にはなんの効力もない可能性もある。

矢代の儀式は成功したか?

結果として飯沼一家はハワイ旅行と100万円を手に入れたが、それが矢代の儀式のおかげかどうかはわからない。この点はどっちでもよいと考えている。(紙飛行機だけは神懸ってた)

一方、矢代の儀式によって紙に書いて封じ込めたことが気になる。これに関しては紙に書いた内容を書いた本人から遠ざけることに成功したのではないか?

飯沼父母娘が封じ込めたのは明正。結果として明正と一生コミュニケーションをとらずに済む状況になった…かなり無理やりな解釈だが。

良樹が封じ込めたのは数学の成績。数学の成績を気にする要因として様々なことが考えられるが、例えばお母さんに怒られるのを気にしていた場合、良樹は成績を気にしなくてもよい状態になったのではないだろうか。(この点は後述する)

家族旅行

飯沼一家はハワイ旅行に行かず日本の曰く付きスポットを巡っていた。儀式やら呪いの影響でおかしくなってしまったのだろうけど、この曰く付きスポットと明正のオカルト趣味という点がどうも関係していそうで気になる。

どれもインターネットのオカルト系サイトに載っているスポットであり、明正が行きたかった場所を巡っているようにも感じた。

明正と良樹

明正と良樹はとあるタイミングで入れ替わっていたのではないか?肉体や戸籍が入れ替わっていたのではなく、明正と良樹の中身が入れ替わってしまったのではないか?と考えている。

入れ替わってしまったことが矢代の儀式の影響か、正明のオカルト趣味による要素が作用してなのかはわからないが、おそらく意図せず事故的に起こってしまったものだと思われる。

明正と良樹の入れ替わりが発生したと感じたのは、飯沼家にあったフープと同じようなものを良樹が必死に作っていた点。「向こう側にいくために」作っていたらしいが、そもそもその知識は良樹にあったのか?オカルトに精通している明正が現状を正す方法がフープを完成させることだと知っていたからこそ、良樹(中身は明正)は徐々に体が蝕まれる中フープを作り続けていたのではないかと考える。(例えばフープを完成させることで明正と良樹の中身を元に戻すことができる等)

しかし、フープ完成間近で岸本悠美子が矢代に依頼して四十九日の裁きを行ってしまったのではないだろうか?そして四十九日は失敗し…。

四十九日の裁き

岸本悠美子は矢代にやらせた儀式。(儀式自体は矢代自身が考えたもの)

結果として失敗してしまった。『飯沼一家に謝罪します』のエンディングでは矢代は岸本家の2階にあがり、そのまま降りてこなかった。岸本悠美子は矢代の行方について聞かれた際に否定も肯定もせず何も言わなかった。知らないとは言えないけど知っているとも言えない状態にあるのだろうか。

岸本悠美子がスタッフを良樹の部屋に連れて行った際、良樹の部屋には台の上に乗せられた人間のようなものと、生命維持装置の音がした。良樹が今どのような状態になるのか?VTRの中で真っ暗だけど部分的にアップになる描写があるが、どうやら良樹と矢代は体が重なっているような状態になっている。左腕が袖から2本生えていたり、足が3本あったり、キメラのような状態になっている。

※これについて、(4)の7:40あたりから見てみるとよくわかる。一時停止ではなく映像を動かして、画面の輝度を調整するか、部屋を真っ暗にして画面をみるとわかりやすい。

これはおそらく四十九日の裁きが失敗したことによる影響だと思われるが、肉体はまだ死んでおらず、機器によって酸素の供給だけは行われている。取材スタッフが良樹と会う前に矢代悠美子が良樹の部屋に入って確認を取っている点から考えるに、植物人間のような状態ではなく、動こうと思えば動ける状態にあるのではないかと思われる。

岸本家の2階への扉には外鍵がある。これは異形のモノになった良樹/矢代が外に出ないように閉じ込めているのだろうか?

岸本悠美子「あれじゃあねぇ、やっぱダメみたいですね」

明正が送るりんごの意味

明正の影響によって良樹がああいう状態になったことへの贖罪のためにりんごを送っているとも考えられるが、別の視点で考える。

上で書いたとおり、明正と良樹の中身だけ入れ替わっている場合、このリンゴは岸本良樹から母親である岸本悠美子への贈り物だと考えるのが自然ではないか?

岸本悠美子

一番の謎。

彼女のバックグラウンドについては番組内で一切触れられていないが、人に調査を依頼し矢代までたどり着くことができたり、番組制作のためにスポンサー会社を作らせたり、良樹が異形のモノになったとしても世話をし続けている。

何者?

彼女はやけに謝罪やTVでの放送にこだわっていたが、謝罪には謝罪以外の目的や意味があるのだろうか?例えば『飯沼一家に謝罪します』で矢代が何かしらの儀式をTVを通じて視聴者向けに行い、それによって良樹の回復につなげることができるなど、不特定多数の前で謝罪することによる意味があるのではないだろうか。

飯沼一家に謝罪します

『飯沼一家に謝罪します』という番組は以下の2つ存在する。

①2004年の矢代が飯沼一家に対して謝罪し四十九日の裁きを行った『飯沼一家に謝罪します』

②2024年12月に4夜連続で放送された『飯沼一家に謝罪します(1)~(4)』

①は岸本悠美子が矢代に謝罪させるために作った番組だが、わざわざテレビで謝罪をさせる意図は謎。さらに謝罪先は飯沼一家となっているが、悠美子が一番謝罪してほしいのは巻き込まれた自分の息子である良樹ではないか?番組の中では良樹にむけた儀式で終えてる点から目的はそこにあるとは思われるが…。

②の『飯沼一家に謝罪します(1)~(4)』について。

番組タイトルは①について調査する番組だからそのままつけただけだろうか?調査の過程で飯沼一家に謝罪が必要な状況になってしまったのだろうか?この場合の飯沼一家は明正一家のこと。彼らに危害がおよぶ状況になったり、すでに何か起きてしまったのではないだろうか?(本ドキュメンタリーがお蔵入りにならないレベルで)

番組の最後は明正の「すいません」で終えているが、もしも明正の中身が良樹の場合、良樹が働きかけたなにかによって飯沼一家の不幸や明正と良樹の入れ替わりが起きてしまった。そのことに対する謝罪ではないだろうか。

良樹と明正が入れ替わってようがなかろうが、この番組によって岸本悠美子は真相に気づき、明正達になにか事を起こしてしまう。それを危惧して飯沼一家に謝罪するというタイトルにしたのではないかと考えた。

テレビ東京、お蔵入りにしてやれよ…。